本土とは、北神半島及び南神半島を指します。行政区分で表すと北嶼公国、西楓公国を除いた各公国です。
連邦本土には複数の地方区分の方法があります。
公国ごとの区分
一つは連邦の行政区分に乗っ取りそのまま公国ごとに区分する方法です。
北神半島と南神半島
北神半島と南神半島に区分する方法です。
この場合両者の境界は楓関嶺山脈に置かれる事が多いです。
月ノ江公国の領域は厳密には南神半島ではありませんから別個に扱われる事もあります。
本領と南領
本領は醍醐公国・石積公国以北の地域を指します。つまり北神半島の北部であります。本領の事を「本領北神」と呼ぶ事もあります。
一方南領はというと、それより南の地域の事です。
本領と南領には経済的・歴史的に大きな差があります。両地域間では様々な事情が異なる為、「本領」「南領」という呼び分けをしているのです。
新仙と礼蘭
「新仙」「礼蘭」という区分方法もあります。
新仙は北神半島最北部を指します。礼蘭は本領北神の新仙より南の地域を指します。
中陸地域(南仙公国の南部)や上下半島を新仙とするか礼蘭とするかははっきりしません。
北神半島と南神半島はプレートの沈み込み帯の傍に形成された大陸弧です。
本土の近辺では4つのプレートがせめぎ合い、それらの活動が両半島を造りだしたました。このような変動帯に位置する為、本土では地震が頻発し火山が多く存在しています。
北神半島も南神半島もプレート沈み込みによる造山活動で形成された大地ですから全体的に山がちな地形となっています。北神半島では北神山脈が、南神半島では南神山脈がそれぞれ脊梁山脈となっています。
二つの半島の間は礼蘭湾という大きな湾があります。此処の海底には丁度プレートの沈み込みが起きている北神海溝があります。
連邦の最高峰は楓上公国と針河公国の間にある楓関嶺山脈の大天井ヶ峯(4188m)です。此処の山脈は南神半島のある南羅プレートと北神半島のある北洋東プレートの衝突で形成されました。
楓関嶺山脈の北側には茅淀湖という連邦最大の湖があります。これは上記のプレートの衝突による地殻変動で海底が隆起し海が取り残されて出来た湖です。
礼蘭湾の奥、北神半島と南神半島の間にある月ノ江地方だけは沈み込みに伴う造山活動によらず形成されました。この地域は南羅大陸の一部なのです。
ただ、沈み込みによる造山活動を受けていない訳ではありません。プレートの運動による応力で断層活動が起き霜降山地等の山岳地帯が形成されています。
南神半島が出来る以前はこの様な山岳地帯は存在せず平原だったと考えられています。
北神本土は修正ウラディミール気候区分(ケッペンの気候区分に相当)では殆どが冷帯湿潤気候になります。南部沿岸では温帯湿潤気候の地域もあります。
いずれにせよ、気温年較差が大きく年中を通じた降水がある気候です。
冬は全域的に寒冷ですが特に北神北部で顕著です。真冬の北神北部では日常的に氷点下20℃以下になります。
本土南部の低地では幾らか寒さはましになりますが、高地では日常的に北部並の冷え込みをします。
本土の冬は豪雪でも有名です。
西から来る発達した低気圧に吹き込む湿った東風が、北神と南神の東側を中心に大量の雪を降らせます。
常盤山南東麓は世界一雪が多い地域と言っても過言ではありません。
低気圧が本土を横断していく際には本土の全域に雪が降ります。
春、秋は高気圧、低気圧が度々来るので天気は変わりやすいです。日々の気温の変動が大きいのも特徴です。
夏は本土の殆どの地域で20℃を超えます。南部や内陸盆地等ではしばしば30℃近くまで昇温する事もあります。一方、北部では急に10℃近くまで気温が下がる事もあります。
低気圧が頻繁に通過するので雨の日が多いです。
年間降水量は大体1000mm前後です。
連邦本土は森林が豊かな地域で、土地の約7割が森林に覆われています。少人口で土地が余り気味故に、貴重な平地にも数多の森林が存在します。
植生は基本的には落葉広葉樹と針葉樹の混成林で、気候環境によって両者の卓越度合いに差があります。自然林の場合、本土大部分では広葉樹が優勢で、比較的温暖な南部では特にその傾向が著しいといえます。逆に寒冷な北神半島最北部や高所では完全な針葉樹林となっている所もあります。林業が盛んな地域では単一種の広大な人工針葉樹林が広がっている所が散見されます。
代表的な樹種はシラカバ、ダケカンバ、ミズナラ、トウヒ、トドマツ等です。野草はオオイタドリ、キタカミフキ等の大きな葉の物が目立つ他、ササも多く生えています。
針葉樹の分布には特徴があり、「松の北神、杉の南神」と表現されます。これは北神半島ではトウヒやトドマツといったマツ科の針葉樹が多く、南神半島ではキタカミスギ(スギの亜種)が多い事を意味しています。
余談ですがトウヒは連邦の国木にも指定されており、国歌の中でも歌われています。
連邦の人口の98%は本土にあります。
本土の人口は約2800万人という事になります。
本土の面積や食糧生産性を考慮するとこれは少ない人口で、密度にして約70人/㎢です。
60年程前にはより大きな人口がありましたが、夏戦争やそれによる土地の荒廃、老鄧への移民によって人口が大幅に減少しました。
恒常的な出生率の低さもあり、現在になっても60年前の人口を超えていません。
夏戦争が無ければ現在の北神の人口は3500万に達していたとも言われます。
本土の人口分布には大きな偏りがあります。面積的には1割に満たない本領に人口の3割が集中しているのです。
この人口の偏りは経済と歴史的過程に起因します。
かつては連邦の領土は本領のみで南領は南羅共和国の統治下にありました。その状況下で本領と南領の間に経済発展の格差が生じ、自然減が下がった本領の人口は増大しました。更に、経済的恩恵を求めて南領から本領に移住した人も多く居ました。
近年では村落から都市へ、南領から本領へ移住する人が増える傾向にあります。
連邦には大人口を抱える都市が多くありません。理由は単純に連邦自体の人口規模が小さいからです。
最大の都市は人口約122万人の南朝です。北神半島と南神半島の俣に在るこの都市は、南領の経済発展に共に急速に成長しています。関越朝や新仙礼蘭共和国初期の首都でもあったこの地に連邦の首都に移そうという論も浮上しています。
次いで大きな都市は大宮公国の日宮市です。日宮市の人口は約72万人ですが、多くの企業や設備が集まる北神の経済中心地でGDPは南朝市に匹敵します(最近南朝市が日宮市のGDPを追い抜きました)。
市域人口順では次いで十于良公国高島市(約66万人)、醍醐公国醐坊市(約62万人)、砂澤公国志礼市(約56万人)と続きます。
連邦の首都、新岶市の人口は約38万です。重要都市ですが規模的には相対的に小さいです。
北神には巨大都市が存在しない為、延々と続く様な市街地はありません。日宮や南朝の様な大都市でも郊外に向かうとすぐに市街地が途切れます。集合住宅への居住率が高めである事や、通勤時間を抑える傾向から市街地が圧縮されているようです。衛星都市も本都市との間に農村部を挟む事が多いです。
連邦に於いて鉄道の殆どは鉄道公社(国鉄)による物です。本土各地に路線は敷かれていますが密度はそれほど高くありません。近年は速達性の高い交通機関として新線建設が進みました。連邦の鉄道は旅客輸送のみならず貨物輸送も少なくありません。南羅と陸続きで鉄道も接続しており、国際列車が運行しています。
高速鉄道は鮫付-二北上間の冷沢急行と二北上-志礼間の北神高速鉄道の2本が敷かれています。北神高速鉄道は今後南朝迄延伸予定です。
道路交通は、改善が進んでいるとは言え良い物ではありません。特に非国道では未舗装道路や高規格化していない道路はまだ多く、雪解けや長雨の時はぬかるんで通過に難儀する事もしばしばあります。
高速道路は近年の開発政策により全国での敷設が行なわれました。
海の多い国ですから船舶交通も無視出来ません。礼蘭湾では多くの船舶が北神東岸と南神西岸を往復しています。鮫付港や日宮港はチョークポイントの港湾として国際的にも重要な存在です。
月ノ江では河川交通も利用されており内陸の河港が多数存在します。これらの港は南羅との貿易にもよく利用されています。
穀物生産は南方では米が多く、北に行くにつれ小麦の割合が増していきます。北方は冷涼な為に米の栽培が不適なのです。おおよそ醍醐公国が稲作の北限となっています。
火山灰土壌を活かした蕎麦栽培は各地で行われています。
果実では林檎が最も多く栽培されています。特に粉森公国で林檎の産量が多いです。収穫された林檎から作られた果汁飲料は世界的に人気があります。
海と繋がりの深い北神にとって漁業は重要です。北神は人口比では漁獲量が多い国といえます。
本土近海では蟹、鱈、鰊、鮭等が主要な産品です。礼蘭湾では帆立や蛸などの産品が有名です。
沿岸人口が巨大な大住海(東側の海)では長年漁獲量が減少している為、今では森吹海(北洋(西側の海))や礼蘭湾が主要漁場になっています。大住海側(特に栗原公国)の漁業者は養殖に力を入れるようになりました。
畜産業の生産量は少なく、肉類は南羅からの輸入が多いです。砂澤公国の越道丘陵や南神内陸南部等が肉牛の国内産地となっています。
夏場の気温が低い北部海沿いや高地では酪農も行われています。 これも畜産同様盛んというほどのものではありません。
多くの山林や平地林を有する北神では林業は比較的大きな産業になっています。北神半島では椴松が、南神半島では杉が多く栽培され、それらは紙の原料になったり高級木材として外国に輸出されたりしています。
工業は主に本領で盛んで二北上、日宮、醐坊といった都市に多くの工場が立地しています。併し近年では地価や人件費が安い南神への工場移転も活発になっています。
南領でも南朝や高島、砦浜といった従来からの工業地域が存在しています。
北神で最も需要な工業は製紙業であります。南羅帝国時代以降国の大産業としての地位を築いてきました。北神の製紙は技術力が高く世界的需要があり、連邦の主な輸出品目の一つとなっています。生産量も多く連邦の紙の生産量は15年以上世界10位以内にあります。連邦最大手の中陸製紙や高級紙で有名な穂先山製紙といった企業がこの産業を担っています。
製紙業が盛んになったのは、古くから技術を有していた事、古くから紙に対する幅広い需要があった事、森林資源が豊富である事が要因されます。
主な重工業産品は電算機、自動車、航空機です。これらは新仙礼蘭共和国時代の工業推進政策で成長した産業です。代表的な企業としては、電算機では倫弦、自動車では紅零自動車や鏡月町自動車製造所、航空機では田山飛行機があります。
曾ては高い技術力で外国へ多く輸出していましたが、近年は他国製品に押されており輸出は好調とは言えません。
鉱業生産はあまり盛んではありません。
比較的産出量が多い鉱物は銀、銅、亜炭であります。亜炭は楓関嶺山脈で採掘され月ノ江や南神の農村部で利用されますが、灯油やガスに代わられて需要は年々減っています。
石油は粉森公国で産出されますが国内使用分を十分に賄う程の量ではなく輸入が必要です。
多くの産業に於いて大手企業の本社は本領に所在しています。
中でも偏りが著しいのは金融業、保険業で、大手本社は殆どが新仙にあります。これは銀行や保険会社は大庄屋と共に成長して来たという事情に因るものです。
情報通信産業は二北上を中心とする粉森平野に集積が見られます。粉森に所在する二北上工科大学と津路先端技術大斈、電算機製造者の倫弦、北神の情報産業はこの三つを中心に育ってきました。